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スタンピング・マシーンがやって来た
昨年の夏、エイ出版の雑誌「CLUTCH」の編集の方々と、ヨーロッパの伝統的な眼鏡生産地である仏ジュラ地方に赴き、フランスの伝統的なアイウェアスタイルを追求するLesca LUNETIER を一緒に同行取材しました。また本ブログでもその様子を紹介しました。→フランス・ジュラ地方探訪レポート

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CLUTCH 2013年10月号

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フランス東南部、スイス国境近くのジュラ地方は古くから眼鏡の工房や工場が多くあるヨーロッパ有数の眼鏡生産地です。熟練した職人さんの真摯な姿や、長年作業してきたごつい指先など非情に印象深く、また一見農家の様な建物が実は中全体が工房になっていたり、山麓の美しい景観の中にフランスの眼鏡生産の伝統と歴史をたくさん見る事が出来ました。

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その様なジュラの地域で訪れた工房の一つに、今はもう使われて居ないのに、機械や工具がそのまま博物館の様に残っている場所がありました。あたかも休憩時間で、さっきまで仕事をしていた職人さん達が離席している様な不思議な様子です。

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その工房を所有している職人さんに話を聞くと、今はもう最新の設備が整っている工場に仕事が移っているものの、往年のフル稼働していた時代に仲間と懸命に過ごした場所をそのままの形で残しておきたかったとの事でした。
さっきまで使っていたかの様な工具や機械を見てみると、長年に渡って人の手によって手入れされ、使い込まれているので、錆などはなく良い味を出して黒光りしています。

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この工房を所有しているのはLesca LUNETIER の代表兼デザイナーであるJoel氏ご親戚の職人の方です。私が工房の伝統や職人気質の塊の様なオーラに圧倒され、私の様子を見ながら2人で何やら笑いながら話し合っています。するとその後Joel氏が「テツヤ、ここに眠っている機械を幾つか日本に持って行くかい?」と言い出しました。

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始め驚きましたが話してみて理由が分かりました。その日の以前からJoel氏と話している際に「Lesca LUNETIER」を本当の意味で日本に紹介するためには、ジュラの伝統や歴史も伝わる様にしなければならないね」という話をしていました。先にスタンピング・マシーンで使っていた金型は2つ譲り受けていますが、機械を展示する事が出来ればジュラの伝統と歴史のある工房の雰囲気が非情に伝わりやすくなります。親族や仲間の職人達との思い出であり形見の様な大切な機械を日本の私たちに譲り渡してくれると言うのです。これには感動しました。
 
こうして遙々ジュラの山奥から、海を渡って届けられたのがこのスタンピング・マシーンです。ふだんあまり大型車両など入り込まない山奥なので、輸送手段や見積もりなどが大変で、日数がかなり掛かってしまいました。

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渋谷店に展示中のスタンピング・マシーン

1940年頃に作られた個体で、ジュラ地方では1920〜1970 年代くらいに多く使われていた機械です。眼鏡の型の金型をこの機械に取り付けて、アセテートの板を打ち抜いて製造していたのです。今は安全性とスピードがもっと高い設備に取って代わられていますが、当時に眼鏡の大量生産が始まった頃には大活躍していた機械で、レスカを代表するスタイルであり、フランスの伝統的なフォルムの一つであるCrown Pentos(クラウン・パントゥ)のビンテージもこの機械で作られていました。 

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グローブスペックスの店舗にはこの機械を使って作っていた頃のLesca LUNETIER ビンテージアイウェアと、スタンピング・マシーン、そして専用の金型など店内に展示していますので、ぜひフランス眼鏡作りの伝統と歴史をご覧になってみて下さい!

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