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ロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージ


MIDOを終えた後
 
こんにちは、グローブスペックスの岡田です。
ちょうど1年前、昨年春のミラノの展示会の後、フランスに渡り古くからメガネの生産地であり、Lesca LUNETIERの工房があるジュラ地方を訪ねました。Lesca LUNETIERの背景にある仏眼鏡界の歴史と文化、製法やフランスらしさを大切に守っているコレクションや、未だに膨大な数を所有するビンテージ・アーカイブの世界などをご紹介した事は記憶されている方も多い事と思います。

 
今年はミラノの展示会の後にウィーンに渡りました。出張渡航直前に懇意にしているファッションの関係者から情報が入り、急遽既に組んでいた予定を一部キャンセルして、1日だけウィーンに立ち寄る事にしました。当初ミラノからベルリンに行く予定でしたが、早朝にミラノを出て日中をウィーンにて飛び込んできた新たな予定をこなし、夜遅くにベルリンに到着するという少し強硬なスケジュールに変更です。
 

ウィーンはグローブスペックスにとっては関係が深い町です。オープンの年当初から扱っているバッファローホーンの名店、ハートマンとの付き合いがあります。グローブスペックスのスタート準備時にはお金が無かったので、ヨーロッパに行った際には家に泊めて貰っていました。今年でブランド生誕111周年を迎える帽子のミュールバウアーもウィーンのブランド。毎年春と秋に帽子のオーダー会を行ってくれています。そして弊社のロゴを作ってくれたのもウィーンのデザイン事務所、GERALD SCHUBA CORPORATE COMMUNICATIONS。なぜかグローブスペックスにとってウィーンは特別な縁がある町です。
 

ロバート・ラ・ロッシュ氏

今回の新たなウィーンとの関係は、80年代から90年代に掛けてアイウェアのファッション化に大きな影響を及ぼしたブランドRobert la Roche、デザイナーであるRobert la Roche(ロバート・ラ・ロッシュ)氏本人です。アラン・ミクリと並び、「アイウェア= ファッション」の認識を最初に作り出し、長くに渉って活躍することでその認識を世界中に定着させたブランドで、20世紀のアイウェアの進化を語る中で無視することは出来ない存在です。
メリル・ストリープ、メグ・ライアン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ケビン・コスナーなどのハリウッドスター達も、スクリーンの中とプライベートで愛用していました。80年代に大ヒットした映画、恋人達の予感(When Harry met Sally)の中でメグ・ライアンが掛けていたのもロバート・ラ・ロッシュの眼鏡です。
 
今回の訪欧事前に聞いた情報では、そのロバート・ラ・ロッシュのオリジナルビンテージがヨーロッパの限定的な一部の店で紹介され始めている、と言う内容でした。1980年代にまだ私が駆け出しの若者だった頃、既に世界的に活躍されていた方なので、当時は雲の上の存在でした。直接会ってお話しするのは今回が初めてです。
日本も今年の冬は寒い印象がありましたが、3月初旬に訪れたウィーンもまだ冬直中の寒さでした。
 

空港からウィーンの中心街に向かい、そこから少し住宅地域に入るとロバート・ラ・ロッシュ氏のアトリエがあります。この場所はなんとロバート・ラ・ロッシュ氏が生まれた場所でもあり、かつてはお父様が所有していたアパートメントだそうですが、今はロバート・ラ・ロッシュ氏の自宅兼アトリエと、ヴィンテージ・コレクションの保管庫があります。最盛期にはNYと東京にもオフィスと居住の拠点があり、世界中を渡り歩いてきたラ・ロッシュ氏ですが、今はまたスタートしたウィーンに戻られて、自身のロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージを開始されました。
 
ミラノを早朝に出てウィーンに辿り着きましたが、お腹が空いていたところにありがたく、まずは奥様の手作りのパスタ昼食を振る舞って戴きました。お腹が落ち着いた所でビンテージのアーカイブが保管されている部屋へと案内されました。
 


同じアパートメントビルの階下に下りて行くと、2つの部屋に分けてロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージが保管されています。まず数に圧倒されました。相当な数のデッドストック・ビンテージが整然と収納されています。ロバート・ラ・ロッシュのオリジナルコレクションは最盛期の80年代には年産26万本という勢いであったので、その生産数からすればごく一部なのだと思いますが、この量であれば店を限定して展開した場合には数年間また新たなブランドとして紹介して行ける内容です。
 

ロバート・ラ・ロッシュ氏ご本人がカテゴリー毎にコレクションの紹介をして下さり、それらを私が日本で紹介できそうなものを仕分けて行きました。改めてロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージを見て行くと、全体の根底にはクラシックがある印象ですが、古いものの焼き直しでは無くラ・ロッシュ氏の独特な再解釈なされています。クラシックのデザイン要素を何となく感じるものの、コレクション全体にわたって他のコレクションでは見たことがない、一貫したロバート・ラ・ロッシュらしさと言うものが強く感じられました。クラシックを基礎として安定感があるものの、サイズ感、カラー、構造にも様々な工夫や創造性があり、やはりロバート・ラ・ロッシュのコレクションはとても楽しい内容です。当時は誰もチャレンジしたことがない構造や素材使いも多かったため、製造する工場や職人達と相当なやり取りや試作を重ねてようやく実現できたデザインも多いそうです。クラシックのオーセンティシティをベースに、ヨーロッパらしさ、ウィーンらしさ、モードやファッションの要素などが溶け合ってコレクションが創造されています。
 

同じウィーンのブランドであるミュールバウアーの帽子、ハートマンのホーンコレクションにも同じ様な事が感じられます。ウィーンは東欧にも近いヨーロッパの真ん中に位置していて、ドイツ語を話しながらフランス文化の要素も混じり合っており、そして長い歴史を経て、音楽、芸術、食など多岐にわたって魅力と文化度を高めてきた街です。どのブランドにもウィーンの街の魅力が無意識のウチに込められている気がします。もう一方ではどのブランドも常に新しいチャレンジをしていて、単に伝統を守るのでは無く、常に新しい試みや工夫がなされています。新しい事に取り組んで行く中で伝統やらしさは意図しなくても必然的に製品から漂い、醸し出されている。ウィーンのブランドは不変のオーセンティシティと新規性を併せ持っている事が共通する魅力なのだと思います。
 
ではグローブスペックスでご紹介するロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージの一部をご紹介します。

大きく分けるとクラシックをベースにした掛けやすいグループと、より新しい試みを反映させたグループの2つがあると思います。
 








掛ける側の掛け方も、今のスタイルに全く違和感無くさらっと掛けられるタイプと、うまくコーディネイトで合わせると、非常に良いファッションのスパイスになるタイプとがどちらもあります。






店に来て試して戴くと、また新たなアイウェアの魅力の拡がりを感じて戴ける事、間違いありません。
 
また定期的にウィーンに赴いてロバート・ラ・ロッシュ・ビンテージも更新してご紹介して行きますので、お楽しみに。
 
岡田